富山県は、平成の大合併により、全国で一番「市町村の数が少ない」県となった。一見すれば、行政改革が進んだ県のように思われるが、本当にこれで「富山県は強くなった」と言えるだろうか。
 お隣りの新潟県では、県・市・経済界を挙げて「新潟市の政令指定都市化」を実現させた。これは、これからの10年間で、新潟市を強くする事と新潟県の衰退を止めたいという「強い意志」から実現させたものである。一方、金沢でも、改めて「政令指定都市」を目指す動きがある。こちらは、北陸の中心都市として「隣県ストロー」化を図り、不動の地位を確立したい為だからだ。

 改めて問いたい「富山県は強くなったのか?」「富山県は強くなれるのか?」と。
 先般、法政大学大学院の研究グループが発表した「都道府県の成長力」調査では、富山県の成長力は「全国で43位」という結果が出た。過去10年間のさまざまな指数から弾き出されたランキングだが、「富山県にとっては、大変厳しい現実を突きつけられている」と言えるだろう。

 この現実から顔を背けることなく、しっかりと将来を見据えて、巻き返しを図らなければならない。この巻き返し策は、「小手先」では失敗の繰り返しとなるだろう。思い切った取り組みをしなければならない。
 しかし、悪化した財政面や危機感不足は、「富山の将来性」を見えなくさせている。
 今回の特集では、10年先を見据えて「いま最低限、何をすべきなのか?」を、改めて5つの提言に絞込みたいと思う。


 現状、富山県における「政令指定都市の必要性」や「政令指定都市の有効性」が、議論されていない状況は、大変残念な事である。富山県が抱える様々な問題点を改善させる為にも、また全国で富山県が43位とも言われる成長力の改善や将来性の向上の為にも、「富山に政令指定都市の誕生」は、避けて通れない道だと考えるからだ。
 県内の市町村合併が一段落して、各市町村は「成長力・将来性」の確保が出来たと考えているだろうか。もし、確保できたと考えているようであれば、10年後「厳しい現実が待っている」と考える。抜本的な改革・戦略構築の、まだ入口にいるという認識が必要だと考える。
 地方都市でも、人口減少時代に対応するには、「民間の活力」をどう引き出すかが課題となっている。しかし、中核市や特例市レベルでは、資本を大きく引き込むほどの魅力はない。県財政も逼迫している現在、民間活力を呼び込む為には、政令指定都市の実現しかないだろう。
 いかにして、前向きに「議論や検討」が進むようになるか?。その為の道筋を考えてみたい。

 政令指定都市「大越中市」の誕生に掛かるコストは、実質「ゼロ円」以下になると考える。それは、合併による行政の効率化で、合併経費に掛かる費用が賄えるからだ。「ゼロ円で、劇的な改革が出来る」。その上、マイナスだらけの富山県が、プラス都市へと変身できる。そのようなパワーを、政令指定都市は持っている。

 特に、政令市移行で 「行政区」 と 「区役所」 の設置が可能となり、中核市よりも、地域密着・住民密着の行政サービスが可能となるメリットは大きい。
 「区役所」 は、実質的には市役所と同等な機能があり、住民手続きなどの一般サービスはもとより、都市計画や産業観光などの地域振興業務も受け持つことができる。また、地域の名称を区名として残せることとなり、地域の誇りとブランド化も可能となる。
 現在の富山市などでは、合併で行政エリアが広域化し、地域内格差が心配されているが、政令市に移行すれば、今より住民密着なサービスが可能となるだろう。
 合併により誕生する政令市では、新しい市の名称も問題となる。しかし、名称での駆け引きで合併を頓挫させるべきではない。将来性を重視する判断が必要だ。
 当サイトでは、「越中市」 を仮に使用しているが、その他の候補名としては、富山湾に吹く風をあらわした 「あい市」 を挙げておきたい。

 10年後、富山県民が笑えるようになるため、改めて「富山に政令指定都市の必要性」を、いま一度、関係機関が検討されるよう願うものだ。

 富山空港は、北陸新幹線開業後、国内中長距離線と国際線に特化していかなければならない。だが、現実問題として、富山空港の滑走路は2000メートルしかなく、中長距離路線に対応できない問題がある。
 富山空港の滑走路延長をしたいのだが、富山県の財政悪化のために、現状では難しい向きがある。そこで、提言したいのは、出来るだけ県の負担を掛けずに、富山空港の滑走路拡張を図る事だ。
 これまでは、富山空港の滑走路拡張を図る場合、堤防の移動や橋梁の架け替えが必要となる為、巨額の費用が掛かると考えられていた。しかし、神通川の流れを移動させるだけで、滑走路2200メートル化が可能と考える。成田空港の第2滑走路は、2180メートルで建設されたが、主にアジア圏の中距離路線に活用されている。同じように、富山空港が2200メートル化されれば、中距離路線に対応できるだろう。
 事業費は、50億円規模と推定。現在、空港整備と河川整備は、同じ国土交通省であり、河川改修と空港整備を、セットにした取り組みを期待したいものだ。


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富山高岡広域都市圏 政令指定都市化 支援政策の提言 その1 「空港整備強化」

 コンパクトシティを目指す富山市や富山県にとって、現在の鉄道網を再構築する必要がある。既存鉄道をいかに活かして、有機的に結びつけるか。
 もし、富山市に山手線や大阪環状線のような「富山環状線」があれば、大都市レベルの都市機能へと飛躍的に向上し、商業地域の活性化にも繋がるだろう。公共交通機関としても、「市民の意識改革」が進むと考える。
 地鉄上滝線と高山線を結ぶ「9キロの新線」が建設できれば、富山に環状鉄道が実現できる。事業費は、推定500億円規模。南富山駅・ファボーレ周辺は立体高架化、空港と神通川は、地下トンネル化、高速道周辺はアンダーパス、その他は盛り土化とする。


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富山高岡広域都市圏 政令指定都市化 支援政策の提言 その2 「越中環状鉄道の実現」

 富山県では、県第一都市と県第二都市間を直線で結ぶ高速道路が、これまで無かった。
 県都「富山市」から高岡市や氷見市・能登方面へ向かう場合、一般道を使う場合が多い。高速道路も存在するが、大きくルートを蛇行しなければならない為、現実的とは言えない。
 この不便さを改善させる為には、「富山高岡弾丸道路の実現」が必要である。
 格安で実現させる為に、現在建設が進む地域高規格道「高岡環状線」の高岡IC−南郷大橋間を活かし、そこから北陸道富山方面へ伸びる「新規高速道路」を建設したい。
 新規の高速道路と言っても、「わずか4キロ程の整備」で済む。事業費は、全区間を盛り土高架化であれば、推定300億円規模。
 この高速道路が実現されれば、富山市から高岡市・氷見市・能登が、ノンストップで結ばれる。


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富山高岡広域都市圏 政令指定都市化 支援政策の提言 その1 「都市高速整備」

 富山県は、長年の間、北陸3県を経済圏として考えてきた。富山県の隣接県は、石川県・新潟県・岐阜県、そして長野県。しかし、富山県では、新潟県・岐阜県の県庁所在地が遠いということもあり、経済交流が少なく、もっぱら比較的距離が近い、石川県にばかり目を向けてきた傾向にあった。石川県の人口は117万人に対して、新潟県・長野県・岐阜県は、いずれも200万人を超える人口規模がある。大きな人口を抱える隣県エリアがあるにも関わらず、富山県の経済活動は、北陸という狭いエリアに限定されたものとなっていたのだ。
 近年、新潟県・岐阜県には、高速道路が整備され、距離感が一気に縮まっている。特に新潟県へは、今後は新幹線も整備が進むこととなり、隣県としての経済交流が盛んになるだろう。しかし、長野県だけは、近くなってきていない。
 実際には、長野県の中心都市となる長野市と松本市は、新潟市や岐阜市よりも富山市からは距離がはるかに近く、北陸の福井市よりも近い。もし、富山県と長野市・松本市が、直線で結ばれたなら、富山県にとっては、強力な経済圏を構築できるチャンスとなる。それが、北アルプス横断道路構想なのだ。
 北アルプス横断道路構想は、越中を中心に、北信越+飛騨の人口800万人経済圏を完成させることも可能となる戦略性の高い構想である。この北アルプス横断道路構想を、新幹線開通と同時期の10年後開通を目指す必要があるだろう。
 富山県は、「果たして発展しているのか?」「成長しているのか?」「将来性があるのか?」。これをイメージ出来てる方はどれぐらいいるだろうか?。そして、そのイメージには根拠があるのだろうか?。

 現状を認識する事は、非常に重要である。なぜなら、その認識があれば、将来に向かって「どう取り組めばいいか」が見えてくるからだ。
 現状が、良く理解してないのに、「将来は、こうなるのじゃないか?」「将来は、こうなればいいな」では、富山の将来は無いと言える。

 いかに、現状を分析して、将来設定をするのか?。その為には、「指標化」というものを取り入れる必要があると考える。
 そして、この「指標化」に大事なのは、コンサルタントに丸投げするのではなく、自治体の職員と県民市民が参加して作成する事に意味があるだろう。事業費としては、リサーチ費やワークショップなどの費用が掛かるが、規模は極めて少なくて済む。
 今回の特集では、改めて当HPの中から「緊急的に必要な取り組みたい事」を、5つに絞って提言した。当HPの提案は、その多くが 「政令指定都市の誕生」を前提としている。その為、富山に政令指定都市が登場しない限り、実現性が厳しい提案も多いのだ。
 しかし、このままでは生き残れない状況となり、ただ指を咥えて見てるわけにもいかなくなってきている。出来ることは、何があるのか?。
 今回の提言では、インフラ整備(北アルプス横断道路を除く)で、新たに推定850億円規模の投資が必要だ。その内、国からの補助等で、実質的な投資額は、半分以下となるだろう。この規模は決して大きいとは思わない。なぜなら、どれも富山の経済競争力を高める有益な物ばかりだからだ。ちなみに、現在も整備が続く、金沢駅周辺整備の投資総額は、約1000億円超となっている。

 10年後、富山県は「成長力があるね」となるのか?、「相変わらず衰退してるよね」となるのか?。「最悪」の場合、富山県が無くなっているということも、想定しなければならないだろう。
 これからの5年間で、どれ位のことが出来るか。それによって、「富山=越中」の将来が、大きく変わって行くこととなる。必ず、良い方向へ向かいたい、向かって欲しいと願いながら、皆様へ提言したいと思う。
 そして最後に、皆様へもう一度問いたい‥、「越中は生き残ることができますか?」と。
2006.7.22作成 (2007.3.25改訂)
尚、このページで使用している地図の一部は、AtlasMateを使用しております。複製はご遠慮下さい。
06年11月特集第14号
「越中の鉄道ルネッサンス時代へ」
北陸新幹線開業後を睨んで!
07年4月特集第15号
「越中はひとつ
〜政令市で地域密着行政の実現を〜」
富山県は先進事例に学べ!